「……凪!!魏戎!!」 魅麗のその呼び掛けと共に、そっと目を開くと……そこには元の光景が広がっていた。 しかしそこには魏罫の姿はない。 どこかから吹く風がサラサラと灰色の欠片を空へと運んでいく。 その悲しく美しい光景を眺めたまま、そっと……彼の背中を抱き締めた。 ……私の愛しい鬼を。 すると彼は抱き締める私の腕にそっと手に触れ、静かに私を振り返る。 美しい赤い瞳が微かに揺らめき、そして彼はニッコリと優しい笑みを浮かべて見せた。 その瞬間、辺りに一際大きな揺れが起こる。