懐かしく感じる彼の香りを感じたまま、そっと目を開くと、横たわる彼に跨る様に地面に膝を付いた。 彼は何の抵抗も見せず、まるで眠っている様に静かに目を閉じたまま動かない。 横たわったままの彼の髪をそっと撫でると、彼は静かに目を開け、彼の赤い瞳に悲しそうに揺れる私の瞳が映った。 尚も流れ続ける涙がポタポタと彼の頬に落ち、彼の白い頬を伝って行く。 ……残酷で美しい《鬼》 それはこの手で倒さなければならない宿敵。 私がこの手で討たなければならない……愛しいモノ。