「……そんなわけない。……そんなこと……」
「それなら何故、魏戎はお前に嘘を吐いた?」
震える私の言葉を遮って朧源はそう言うと、首を傾げて私の答えを待つ。
「魏戎が初代巫女の村を滅ぼしたのは、紛れもない事実。あの鬼はお前にその事を隠していた」
朧源の言葉をどこか遠くで聞きながら、震える手をギュッと強く握り締める。
「それでもお前はあの鬼を信じるのか?あの鬼の言う通りに結界を壊し……そして皆が幸せになれる。そう……今でも思っているのか?」
朧源のその問いに……何も答えられなかった。
ただ強く拳を握り締めたまま、彼の視線から逃れる様に俯く。



