「お前は何故、この鬼が結界になったのか知っているか?」 その彼の問いに答えないまま、真っ直ぐに朧源を見つめる。 「愛しい女を守る為に、自らの仲間である鬼達を封じた。あの鬼から……そう聞いてはいないか?」 その問いにコクリと小さく頷いて返すと、朧源は何が可笑しいのかクスリと笑った。 「正確には違う。愛しい女の生きる世界を守る為に、自らの《対なす鬼》を封じた」 「……ど、どういう意味?」 彼の言った意味が理解出来ず、困惑したまま首を傾げて見せる。