「……人の記憶……勝手に覗くな」 いつの間にか目を覚ましていた小金井さんは、そう言って私の手をきつく握り返すと、非難の籠った視線を私に向けた。 「……だ、大丈夫なの?」 その問いを無視して小金井さんはゆっくりと体を起こすと、「いててて」と小さく呟き脇腹を押さえる。 そして握っていた私の手を軽く振り払うと、フラフラと立ち上がり廊下へと向かって行く。