「……凪様?」 その声にハッと顔を上げる。 キョロキョロと辺りを見回すと、そこにはさっきと変わらない何も無い和室が広がっていた。 その中で彩乃さんが窺うように私の顔を覗き込んでいる。 「……ご、ごめんなさい。なんでもないんです」 そう答えて首を横に振ったその時、強い力で手を引かれた。