彼の手を握り締める私の横で、彩乃さんは手際よく小金井さんの治療をしていく。
彩乃さんの手が彼の着ていた制服を肌蹴ると、その中に来ていたTシャツを捲り上げる。
するとそこに見えた痛々しい傷跡に、思わず声を失った。
彼の体には……至る所に生々しい傷跡が刻まれていた。
それは新しいモノから、恐らく古いモノまで……数え切れないほどの深い傷。
その傷の上には赤黒い大きな痣があり、鬱血しているのか痛々しい程に腫れていた。
……魏戎が……付けた傷。
彼の傷だらけの体を見つめたまま、グッと唇を噛み締める。
……戦うという事は……こういう事。
誰かを傷付け、誰かに傷付けられる。
そんな……悲しい連鎖だ。



