「……こちらです」
そう言って土室さんは足を止めると、ある部屋の襖を開いた。
そこには布団の上で苦しそうに呻く小金井さんと……それを悲しそうに見つめる彩乃さんの姿が見えた。
広い畳の部屋には小金井さんの横になっている布団以外、何も置かれていない。
その静かな部屋の中に、小金井さんの呻きが微かに響く。
「……凪様」
そう言って彩乃さんは深く頭を下げた。
しかしそれを無視してそっと苦しそうに息をする小金井さんの横に座ると、そっと彼を見つめた。
眉間に皺を寄せ、ゼイゼイと呼吸を荒げる彼の額には、水に濡らしたタオルが置かれている。



