「凪様は……お兄……朧源様がお嫌いですか?」 「……え?」 その彼女の問いに思わず声を漏らす。 「朧源様は冷たく残酷な人だと貴女は思っておいででしょう?」 その彼女の問いに何も答えないまま、ただ馨さんを見つめ続ける。 「これはただの私の我儘ですが、貴女には……貴女だけには分かって欲しい。彼は決してそのような人では無かったのだと」 馨さんはそう言うと、静かに俯いてしまう。