鬼守の巫女


「……魏か……」

彼の名を呼ぼうとして……それを止める。

彼の凍り付く様に冷たい赤い瞳に怯える様に口を噤んだ。

……知らない。

私はこんな眼をする彼を知らない。

まるで魏戎が魏戎では無くなってしまった様なそんな気がして、ゴクリと息を呑んだまま彼の姿を見つめ続ける。