「……瑠愧」 後ろから動かない彼の名を呼ぶ声が聞こえる。 それは震え……泣く様に吹き続ける風に掻き消されてしまう様な小さな呼び声。 その声にそっと振り向き、見えた姿に胸がザワザワとざわめいた。 とても険しい顔をした魏戎の体の周りに……赤黒いオーラが見える。 それはまるで彼の怒りや憎しみを具現化させた様に見え、周りの皆もただ茫然とその赤い揺らめきを見つめていた。