彼の愛しい温もりを惜しむ様に、私の手は彼の手を握り締めたまま放さない。 『……柳(ヤナギ)』 彼は諭す様に、私の知らない名前を呼ぶ。 それに答える様に私の震える手から彼を解放すると、彼は静かに目を閉じた。 それからゆっくりと、私は手を振り上げる。 その手に握り締めた……美しい剣(ツルギ)を。