鬼守の巫女


流れる涙も拭わないまま、ただ真っ直ぐに彼を見つめると、強く手を握り締める。

するとその時初めて、自分の手にしている物の存在に気付く。

……剣。

私の右手には、不思議な宝飾の付いた剣が握られていた。

様々な宝石で彩られたそれを美しいと思う反面……異様な禍々さを感じる。

……何を……するつもりなの?

そう確かに声に出して問い掛けたつもりだったが、私の口からその声が漏れる事は無かった。