「僕が大きくなれないのは……大人になりたくないって思ってるからかもしれないな」 「……なりたくないの?」 「優しい過去にしがみ付いて……いつまでもそれを捨てられないんだよ」 瑠愧はそれだけ言うと、少し困った様に笑って小さく息を漏らした。 「その分、魅麗は……早く大人になり過ぎたみたいだ」 「魅麗の好きだった人って……人間だったんでしょ。鬼に……喰われたって……」 そこまで言って言葉を詰まらせると、瑠愧は微かに瞳を揺らす。