「貴女達は何も分かっていない。全ては朧源様の思惑通りに進んでいるという事を」

「……朧源の?」

土室さんのその言葉に、出口で立ち止まったまま彼を見つめる。

「私は貴女の悲しむ顔を見たくないのです。どうか考え直しては頂けませんか。貴女は……」

「凪……そんな男の話に耳を傾けている暇はない」

土室さんの言葉を遮って魏戎はそれだけ言うと、私の腕を掴んで歩き出す。