「にゃ」 猫はそれを私に向かって差し出したまま小さく鳴くと、円らな黒い瞳で私を見つめた。 「吹いてみてだって」 少年の言葉に促される様に、恐る恐るタンポポの綿毛に息を吹きかける。 すると白い綿毛は風に乗り、焼ける様に赤い空へと昇って行く。 その瞬間、猫は綿毛に向かって手を伸ばすと、その猫の手の先から眩い光が放たれる。 するとタンポポの綿毛がキラキラと光り、まるで夜の空に光る星の様に美しく瞬いた。