それから暫く、沈黙が続いた。 お互い話し出さないまま、一体どれほどの時間が経ったのだろうか。 「……すまなかったな」 急に後ろから聞こえた彼の声に、そっと後ろを振り返る。 「お前に……嫌な思いをさせた様だ」 そう言って魏戎は悲しそうに私を見つめた。 窓から差し込む月明かりで、彼の赤い不思議な瞳が切なそうに揺れる。 「いいの……あれは私が自分で選んだ事だから。それに……結局何も無かったわけだし」 そう言って気の抜けた笑みを浮かべると、魏戎はまた悲しそうに私を見つめていた。