鬼守の巫女


「ど、どこに向かってるの!?」

「あの刻印の場所だ」

私の問いに魏戎が答えたその瞬間、猫は中庭の大きな木の前に着地を決めた。

一際大きく体が揺れ、グッと喉を鳴らしてそれに耐える。

すると猫はそのままの勢いで、太い木の幹目掛けて突進していく。

「ちょ、ちょ、ちょ……」

私と火伏さんの漏らした声が重なり、目の前に太い幹が迫る。

……当たる!!

ギュッと目を瞑り迫り来る衝撃に備えるが、その衝撃は一向に襲って来なかった。