「……猫ちゃん」

私のその呼び掛けに目の前の獣は答える様に、グルルルと小さく喉を鳴らした。

……これがあの猫なの?

あの不思議な猫の姿は、この獣の姿からは想像できない。

それにどうして……木住野さんが……

「どうして……稔が」

そう声を漏らしたのは、小金井さんだった。

彼は状況が理解出来ないのか、困惑した様に瞳を揺らして木住野さんを見つめている。