「木住野……さん?」

小さく彼の名を呼ぶと、木住野さんは私を見つめてニッコリと笑った。

「我が契約者の名の元に、汝の力、今こそ解き放とう……琥珀」

木住野さんのその歌う様な囁きと共に、猫の小さな体が眩い光に包まれる。

そしてその光が消えると、そこには……大きな獣が姿を現した。

フサフサの茶色の毛に、九本の長い尻尾。

まるで虎や豹の様な形の大きな体。

象並に大きなその姿を見上げたまま、ゴクリと息を呑んだ。