「一つだけ言いたい事があります。今回の件で罪を背負うのは私一人で十分な筈。彼……火伏捺君には寛大な処分をお願いできないでしょうか」 父のその言葉に会場が一際大きくざわめいた。 「彼は心優しい少年だ。前火伏当主の……烈様とよく似ている。その彼の優しさすらも、この一族は罪だと言うのですか?」 父が真っ直ぐに前を見据えそう言ったその瞬間、ガタンと椅子の倒れる音が聞こえた。