「誰も……居ないようだな」 そう言って朧源は私を見つめる。 彼の鋭く凍り付く様に冷たい瞳が私を捉え、それから目を逸らす事も出来ないまま彼を見つめ返す。 ……このままじゃ……お父さんは。 グッと手の平に爪が食い込むほどに拳を握り締める。 するとその手に、温かな何かが触れた。