あれから教室で何でもない授業を受けると、あっと言う間に下校時刻になった。 先生の簡潔なホームルームが終わると、生徒達は慌ただしく教室を出て行く。 「木住野さん。皆、帰っちゃいましたよ」 隣で机に突っ伏して眠る彼にそっと声を掛けると、彼は静かに顔を上げ、キョロキョロと辺りを見回した。