鬼守の巫女


「表向きは我々の所有するただの企業ビルですが、それぞれのビルの地下には本殿があります」

そう言って土室さんが扉に向かって手を翳すと、描かれていた五芒星が眩い光を放つ。

すると扉が地面を揺すりながら左右に開き……そして目の前の光景に息を呑んだ。

目の前には……空が広がっていた。

どういう原理なのかは分からなかったが、漆黒の空には淡い満月が光り、どこからか風が吹いて来る。

その下には大きく立派な建物が建っていた。

まるでお寺か神社の様な建物が、どこまでも続いている。

……ビルの地下にこんな場所が。

目の前の光景に、ただ茫然と立ち尽くした。