「お部屋への帰り道は覚えていますか?」 「は、はい!大丈夫です」 彩乃さんの問いに大きく頷いて返すと、彩乃さんも同じ様に頷き、そのまま二人で廊下に出る。 「では、私はこっちなので……おやすみなさい」 彩乃さんはそう言うと、私とは反対の廊下を進んで行った。 「おやすみなさい」 小さく答えて彼女の背を向け歩き出すと、そっと握り締めたままの手の平を見つめる。