「手を……握っていればいいんですか?」
「はい。お願いできますか?」
「……やって……みます」
ゴクリと息を呑んで、眠っている土室さんの手にそっと手を伸ばす。
微かに指先が触れ感じた彼の温もりに一瞬手を引くが、そのまま彼の手をキュッと握った。
……熱い。
まるで熱せられた石の様に、彼の手は熱かった。
……お父さん以外の男の人の手を握ったのって……これが初めてかもしれない。
頬を微かに赤く染め、そんなくだらない事を考えながら時が過ぎるのを待つ。
しかし特に何が起こる訳でもなく、静寂の中に彼の微かな寝息が響くだけだった。



