「結界が弱まっている今、この皇楼を守る為に一人でも多くの戦力を維持して置きたいんです。大地さんが早く目を覚ましてくれると、とても助かるのですが」 そう言って彼女は困った様に笑うと、そっと布団を捲った。 すると布団の中から土室さんの傷だらけの手が姿を現す。 ……魏戎に襲われた時に付いた傷だ。 その切ない傷跡を見つめたまま、小さく胸が痛む。 ……彼等は今まで、何度、こんな思いをしてきたのだろうか。 命を掛けて戦い、傷付き、そしてまた戦う。 そんな悲しい彼等の姿に、胸がツキツキと痛んだ。