「ここです」 そう言って彩乃さんが襖を開くと、そこには布団の上で静かに目を閉じたままの土室さんの姿が見えた。 体中に白い包帯が巻かれている彼の姿が痛々しい。 彩乃さんは水桶を彼の枕元に置くと、そこにタオルを浸しそれを彼の額に乗せた。 「傷のせいか熱が出てしまって。未だ目を覚ましませんし……少し心配ですね」 彩乃さんはそう言って悲しそうに笑うと、そっと私を見つめた。