「にゃ」 猫は差し出した私の手の平に上手く着地を決めると、小さく鳴いて窺う様に辺りを見回した。 誰も居ない事を確認できたのか、猫は木の幹に向かってそっと手を伸ばす。 すると猫の丸い手の先に静かに光が集まり、それは次第に輝きを増していく。 「な、何をするの?」 その私の問いにもちろん猫は何も答えず、光の集まる手をまるでハンコを押す様にポンと木の幹に付けた。 その瞬間、辺りが一際眩しく光ったかと思うと、猫の触れた木の幹に、不思議な模様が浮き上がった。