「見て下さい!遥さまが教えてくれた折り紙、上手く折れたんです」 そう言って少年は嬉しそうに何かを差し出した。 それは白い折り紙で折られた鶴。 「あら、凄いじゃない。千尋(チヒロ)は本当に器用ね」 私の唇が動き、勝手に声が漏れ出す。 ……そう、これは母の記憶。 そんな事を思ったまま目の前の少年を見つめる。