「結界が力を失う事も、世界が危機に晒される事も分かっていながら、彼は七宮に手を貸した。それは決して赦される事のない罪だ」 それだけ言うと、小金井さんは何も言わないまま静かに空を見上げた。 漆黒の闇に包まれた空には、少し欠けた偽物の月が悲しく光っている。 「……それから……どうなったの?」 その答えは……聞かなくても分かっていた。 しかし真っ直ぐに小金井さんを見つめたまま、彼の答えを待つ。