「……前火伏家当主?」 小金井さんの言葉を小さく繰り返すと、彼はコクンと頷いた。 「前火伏家当主……彼は捺サンの父親だった。別に当主の子供が当主ってワケでは無いんだけど、たまたま火伏家では二代続いて親子で当主の証を持って生まれて来たんだ」 「……お父さん?」 「火伏家はね、前にもとんでもない事件を起こしているんだ」 「……事件?」 「彼はね……十六年前、巫女を浚った七宮拓郎を逃がすのに手を貸したんだ」 小金井さんの告げた真実に、ズキリと胸が痛んだ。