「ちょっと!それ私の!」 少女はそう声を荒げると、ビシリと猫に平手打ちを喰らわせた。 「にゃ~」 叩かれた猫は残念そうに小さく鳴くと、トボトボと私の方へ戻って来る。 円らな黒い瞳には涙が浮かび、猫はシュンと肩を落としたまま、私の肩にノロノロとよじ登って来た。 そして私の肩の上で小さく丸まり、シクシクと涙を零している。 ……何なの……この生き物。 今更なその疑問が頭を過ったその時、目の前の男の不敵な笑みが目に入った。