「気に入られたものだな」 「……そう……なのかな」 男が猫を見て困った様に笑うと、それに首を傾げて返す。 「式神は心に従う」 「……心?」 「強い意志だ。式神は自分で従う者を選ぶ」 そう言って男が猫を見つめると、私の肩に乗った猫は不思議そうに首を傾げて円らな瞳で男を見つめた。 「お前は……その強さを持っている」 男はそう小さく呟くと、そっと私を見つめる。 男の不思議な赤い瞳が私を捉え、私の心臓がほんの少しだけ鼓動を速めた。