「ちょ、ちょっと待ってよ」 小声で男を呼び止めるが、男の足は止まらない。 すると私の肩に乗っていた猫は、ピョンと床に飛び降りると、そのまま男の後を追って行ってしまった。 ……一体、何なのよ。 ドキドキと未だ鼓動の高鳴る胸を押さえたまま、甘い声の響く部屋の扉の前で少し考えた後……小走りで男の後を追って行った。