鬼守の巫女


「恋をしたんだ」

「……は?」

急に鬼が呟いた場違いな台詞に、思わず気の抜けた声を漏らす。

「鬼は人間の女に恋をしたんだ。こともあろうか鬼を憎み、滅ぼそうとする宿敵の女にね」

鬼の口にした真実に、開いた口が塞がらない。

……鬼が恋をした。

……人間の女に。

それが初代の巫女。