「お前は生まれてすぐに皇楼から連れ出されたらしいな。そして何も知らない普通の人間として育った。……そうだな?」 「う、うん」 男の問いに小さく頷いて返すと、男は同じ様に頷いて返す。 「お前は鬼についてどこまで知っているんだ?」 「鬼は……怖いモノだって。人を襲い、人を喰らう恐ろしい存在だって……それだけ」 そう答えると、男は自嘲気味に笑って小さく頷いた。 「確かにその通りだな。俺達は人間を喰らう」 男はそう言うと、真っ直ぐに私を見つめた。