少年は子供とは思えないハンドル捌きで、火伏さんに向かってアクセルを踏み込む。

「……くそっ!!」

真っ直ぐに向かってくる車を彼は避けると、舌打ちをして悔しそうに私の乗っている車を見つめる。

それから車は凄い速さで道路を走り抜け……後ろの窓から見える火伏さんの姿が次第に遠くなって行った。