「火伏さん!!」 「来るな!!逃げろ!!」 彼に走り寄ろうとする私を、彼が叫んで制止した。 「……弱いな。火伏の当主よ」 そう言って鬼の男はクスリと笑うと、彼の体から腕を引き抜いた。 すると火伏さんは腹部を押さえたまま、地面に崩れ落ちる。 「……さぁ、これで邪魔者はいなくなった」 鬼の男はそう言って、静かに私に近付いて来る。 その手を鮮血で赤く染め……まるであの夜と同じ様に不敵な笑みを携えて。