「実に容易いモノだった。この街に入るのは。それほどにお前達の力は……そして結界は弱まっている。諦めて巫女を渡せ。そうすればお前の命は……」 「……黙れ。お前に巫女様は渡さない」 土室さんは男の言葉を遮りそう言うと、煙を上げ続ける車を見つめた。 「……捺!」 その彼の呼びかけと共に、歪んだ車のドアが吹き飛んだ。 「はいは~い」 車の中から気の抜けた声が聞こえた次の瞬間、火伏さんが車から飛び出してきた。 火伏さんは汚れた制服をポンポンと払うと、ニヤリと笑って鬼を見つめる。