彼に腕を掴まれたまま外に出ると、反対側の車道のガードレールに後ろを走っていたはずの車がめり込んでいる。 車からは灰色の煙が立ち昇り、ピキピキと何かが軋むような嫌な音が聞こえた。 そして次の瞬間、目の前の姿を捉え……ゴクリと息を呑んだ。 銀色の髪を微かな風に靡かせ、赤い瞳を光らせる男。 端正な顔に、妖しい笑みを浮かべるその男を……私は知っている。