「……なんなの……コレ」 まるでファンタジーの様な目の前の物体に、思わず声を漏らす。 ……夢? ……私、夢を見てるの? そんな馬鹿げた考えが頭に浮かんだ瞬間、男の赤い瞳が私を真っ直ぐに捉えた。 「また迎えに来る……鬼守の巫女」 そう言って男は不敵な笑みを浮かべると、次の瞬間空高く飛び上がり、民家の屋根に着地した。 それからピョンピョンと軽やかに屋根を飛び進み、暫くすると男の姿は見えなくなった。