「行くぞ」

「う、うん」

彼に首を縦に振って答えると、そのまま廊下に出る。

ほんの一瞬、誰かの視線を感じた気がして振り返ると、木住野さんは少し鋭い瞳で私を見つめていた。

しかしそれは瞬きをするほどに一瞬の事で、彼はすぐにまた机に突っ伏してしまった。

……気のせいかな。

彼の鋭く見えた瞳にほんの少し不安になり、しかしそのまま火伏さんの後を追う様に長い廊下を歩き続けた。