「 随分と、ハデにやってくれたようじゃないか? 」
繁華街の一角。
とあるゲーセンの隅のテーブルで、缶入り紅茶を飲みながら、星野は言った。
「 偶然に偶然が重なって、事無きを得たんだ。 とにかく夢中だったからさ。 ウワサの半分は、デマだぜ? 分かってるか? 」
僕が言うと、星野は笑って答えた。
「 承知している。 だが、お前が阿南たちをノシたのは、事実なんだろう? よくやった。 誉めてやるよ。 鉄パイプの星川・・・か。 ちょっと、下品だな 」
「 贅沢言うな。 必死だったんだぞ? コッチは! 」
「 ははは。 悪かったな。 でも、いい経験したろ? 」
缶紅茶を一口飲みながら、星野は言った。
僕は、ウンザリした口調で答えた。
「 こんな経験、もうたくさんだ。 早く、元に戻りたいよ。 サバラスは、何と言ってる? 」
「 昨日、話した時は、またハードディスクが飛んでどうのこうのって、言っていたぞ? 」
「 またか・・・! ちっとも話しが、良い方向に展開しないじゃないか。 ホントに大丈夫なんだろな? 」
僕はそう言うと、入り口脇に視線を向けた。
数人の男子生徒たちが、僕たちの様子をうかがっている。 後ろを振り向かず、僕を見ながら星野が言った。
「 ・・・誰か、いるのか・・・? 」
「 ああ。 グレーのズボンに、濃紺のブレザー・・・ ありゃ、常盤学院の連中だ 」
「 何人だ? 」
「 二人。 いや、まて・・・ 外に、一人いるぞ 」
「 ・・・ヤル気か? 」
「 いや、こんな人が大勢いるトコじゃ、おっ始める事ァないだろう。 偵察だ 」
星野が、少し笑って言った。
「 お前も、鋭くなって来たな。 元に戻ったら、一味違うお前に、かすみもホレ直す事だろうな 」
「 おちょくるなよ。 おっと・・ 入って来た・・・! 」