公園の向こうから、何やら、人が走って来る。
メガネを掛け直し、更に凝視するが、この斉木という男は、視力が悪いらしい。 目を細めて、相手を確認し始めた。
「 ・・女・・ かあ? 後ろから走って来ンのは、誰だ? 男か? 遅れて来た兵隊じゃないのか? 」
傍らにいた男は言った。
「 星川・・ の、よう・・・ ですが・・・? 」
「 はあぁ? 寝ボケてんじゃねえぞ、てめえ! 」
スキンヘッドも、改めてじっと凝視する。
「 ・・・後ろから走って来るのは・・・ マサと、龍二のようですが・・・? 」
「 ンだとう~っ? お前、おちょくっとんのか、コラァッ! 」
兵隊共が、にわかに慌て出した。
「 マ・・ マ、マ、マサが来た! 狂犬マサが、来たぞうッ! 」
「 人間凶器の、龍二も一緒だ! 聞いてないぞ、こんなの・・! 」
後ろの方では、コソコソと逃げ出す輩もいる。
斉木は、兵隊の方を向くと叫んだ。
「 落ち着けえェッ! ナニがあったか知らんが、連中が、襲って来るハズが無いんだ! 落ち着けえェッ・・・! 」
スキンヘッドが、ぼそっと言った。
「 ・・・でも、先頭の星川、鉄パイプ振り回しながら来ますよ? ヤル気、満々のよう
ですが・・・? 」
「 戦意が無い事を、知らせてるのかもしれんだろうが? よく、確かめんか! 」
「 てゆ~か・・ 発狂寸前のような表情、してますよ? 後ろのマサなんか・・・ 獲物取られないように、必死で追いかけてるようにも見えますが・・・? ニタニタ笑ってるし。 もしかしてウチら、皆殺しにされるんじゃないっスか・・・? 」
凄まじい形相で迫って来るのは、明らかに僕とマサ・龍二である事を斉木は、確信した。