いいいいいいいいいいいいいいい、い、い、いっ、いつもしてんのかな?
僕の心臓は、ニトロエンジンのように、急速に、過激に、俊敏に動揺した。
じっとまぶたを閉じ、待っている戸村。 軟らかそうなピンクの唇が、かすかに震えている。
僕の、男としての理性の鎖が、今まさに、全てを開放するが如く、弾け飛びそうになった。 明らかに、鎖には、強烈なヒビ割れが生じている。
妖美な、戸村の唇・・・!
凝視した僕の目は、その誘惑の唇から視線を放す事が出来ない。 誘蛾灯に誘われる蚊の如く、次第に・・ 戸村の唇に・・ 顔を寄せて行く、僕・・・
イカン! ナニする気じゃ、お前っ! それをしたら、イカンのじゃっ! でも・・
ああっ・・!
砕け散りそうな理性を無理やり押さえつけ、僕は、彼女の額に軽くキスをした。
静かに目を開けた戸村が、言った。
「 いつも、おでこばかり・・・ いつになったら、早苗の唇を奪ってくれるのですか? 星川様・・・ 」
・・・もう一歩で、完璧に奪わせて頂いたトコでしたわ。 でも、どうやら、これで良かったらしい・・・! 理性を失い、本能のまま突っ走っていたら、後で、星野に殺されるトコだったぜ。 心臓に悪いわ。 ストレスを溜めると、活性酸素が増えるんだぞ?
サバラスめ・・ とりあえず、意味も無く、もう一回ノックしてやる。
「 大切な人の為に、それは、とっておくんだな・・・ 」
僕は、戸村に言った。
「 大切な人なんて・・・ 星川様以外、いないのに・・・ いじわる 」
そう言いながら、僕の手を取り、人差し指を口に入れ、軽く噛む戸村。
あおおぉう・・・っ! やめて下さい。 理性が・・ 理性があぁ~・・・・!

・・・僕には、意外と理性があるようだ。
今日、僕は、改めて自分の理性の強さを再認識した。