朝食をしに、台所へ行く。
母が、ルンルン気分で話し掛けて来た。
「 ねえねえ、みちるぅ~ 今日、塚原さんと、式場の打ち合わせに行くんだけど、服、ドッチが良いと思う? 」
真っ赤なワンピースと、ピンクのニットを手に、ウキウキ顔の母。
・・・これから、それを着て・・ スナックへ、お勤めですか? あなた。 死んでも、そんな服着て式場、行くなよ。 歳と、場所をわきまえんか。 どうせなら、二人とも稽古着を着て行けや。 ご近所も、納得し易いだろう。
「 上着は、コレにすんの。 可愛いでしょ? 」
これまた、ピンクのショートコート。 おまけに、フリル付き。 襟元には、白いファーまである。
・・・あんた、コミケにでも、行く気か? 大体、そんな服、いつ買った? そろそろ更年期障害か、という歳のオバはんが、そんなモン買うな。 売る店員も、考えて商売せんか。
「 もっと、フォーマルなモンにしなよ・・・! 塚原さんだって、引くよ? そんなん 」
僕が言うと、母は反論した。
「 だって、この服・・ みんな、塚原さんが買ってくれたのよ? 」
・・・ヤツのセンスは、サイテーだ。
きっと、紫( ラメ入り )のブリーフを履いているに違いない。 あんたら、間違いなく町内の有名夫婦になるぞ? 僕、どっかに下宿するね・・・
僕は言った。
「 ピンクの方が、まだマシかな・・・? だけど、そのコートは、ダメ。 他のにしなよ? 」
「 水玉模様のピーコートがあったけど、それにしようかな? 去年の誕生日に、貰ったの 」
・・・どのくらい、コスプレ衣装を貰ってんだ、アンタ・・・?
全部、ヤフオクに出品せえ。 100円スタートな。 多分、マニアが20件くらい、ウオッチリストを入れるぞ?