そのまま立ち止まって見ていると、目の前まで来て、健一は僕に気付き、ビクッとした。
そりゃそうだろう・・・ いきなり、鬼龍会の星野が、目の前に立ってるんだからな・・・しかも、後ろには、龍二がいるし。
健一は、慌てて道を譲った。
確認するだけで、会うつもりは無かったが、成り行き上、仕方が無い。
僕は、僕を見つめた。( ヘンな文章 )
アッチの僕も、僕に気付いたようだ。 びっくりしたような顔をしている。 お互い、じい~っと相手の顔を見た。 しばらくの無言・・・・
健一が、元の僕に言った。
「 ・・お、おい、みちる。 なにメンチ切ってんだよ・・・! この人、知らないのか? 星川さんだぞ? 鬼龍会の・・・! 」
かすみも、心配そうな顔をしている。
元の、僕の腕を掴み、僕に言った。( ややこしい )
「 何か・・ ご用ですか? この人に・・・ 」
ああ、かすみ・・・! いとしい声だ。 コッチおいで。 ・・って、来るハズ、ないか。
僕は言った。
「 少々、時間をくれないか? 星川・・ じゃない、星野 」
「 ・・ああ 」
元の僕は、答えた。
健一が、うろたえた表情で言う。
「 みちる、お前・・・ 星川さんと、知り合いだったんか・・・? 」
心配顔のかすみと健一を残し、僕は、コンビニ脇の路地に、元の僕を誘った。
龍二は、路地の入り口に立ち、他の者が入れないようにしている。 まさに、暴力団幹部と情報屋との密会のようだ。
僕は言った。
「 やっと会えたね・・・! あんた、星野だろ? 」
元の僕が答えた。
「 そうだ。 あんたが、星川か・・・ 何か、ヘンな具合だ 」
お互い、元の自分を見ているワケだ。 心中、お察し申し上げます。
まあ、あのサバラスの、被害者同士でもある。 僕は、星野に、妙な親近感を覚えた。
「 同感。 おかしな宇宙人には、会ったかい? 」
「 ああ。 最初は、信じられなかったがな。 でも、信じるより他にあるまい。 お互い、えらい目に遭ったな・・・! 」
今朝から、僕が経験した幾多の災難は、星野にとっても、同じ事だったのだろう。
互いに、言わずとも知れた苦労を、目で確認しあった。