キレた正木が、男の髪を両手で掴み、後頭部をガンガンと壁にぶつけている。
「 そのくらいにしとけ、正木・・・! 」
龍二が、正木に言った。
「 だって、龍二センパイ! コイツ・・ 朝倉次長を、三下って言ったのよッ? 許せないわッ! 」
「 ・・じ、次長・・・? お、お前・・・ あ・・ 朝倉 美智子か・・・? 」
男は、やっと情況を把握したようだ。
にわかに震え出し、続けた。
「 人間凶器の・・ 内田 龍二が、てめえだって事は・・・ 」
マサが、言った。
「 お前は、運がいいな。 幹部を一堂に見れる機会は、そう無いぞ? 」
男の顔色が、すう~っと青くなった。
朝倉が、メガネの奥から、ドスの効いた冷たい視線を男に放ちながら、芹沢に言う。
「 尋問しても、あまり期待出来るような情報は、持ち合わせていないようね、涼子。 校名だけ聞き出したら、帰してやって。 ムダな殺生は、したくないわ 」
芹沢が言った。
「 校名すら吐かなかったら・・ いかがします? 」
朝倉は、キッとした表情になり、答えた。
「 ・・・まがりなりにも、ウチに潜入しようとしたんだから、それだけは、喋ってもらうわ・・・! 手段は、任せます 」
芹沢は一礼すると、正木と共に、男をどこかへと連行して行った。
・・・怖い子たちだ。 あの男の、身の上が心配になる。
丸太に縛り付けて、プールに放り込むんじゃないだろうな? 化学実験室へ連れてって、焼けた石綿を押し付けるとか・・・? あの芹沢ちゃんと、正木ちゃんならやりかねん。 保健室に連れて行って、○ンソレータムを目の下に塗るぐらいの可愛い事で済ませるハズが無い。 可哀想に・・・