男は、ふてぶてしく言った。
「 けっ・・・! オンナだてらに、偉そうに・・・ ガン首並べて、何の相談だい? 」
途端、男を連れて来たもう一人の女生徒が、男のみぞおちにヒザ蹴りを食らわせる。 かなり強力だ。 手馴れた感じである。
女生徒は言った。
「 ・・・質問以外の事は、喋るな・・・! 」
傍らにいた芹沢が、男に言う。
「 そいつには、逆らわない方がいいぞ? 鬼龍会 風紀局 助勤の、正木 明日香だ。 あたしと違って、見境が無いからな・・・! 」
別名、特攻の正木・・・ コイツも、名前は聞いた事がある。
レディースの出身で、芹沢に助けられ、改心。 得意の水泳で、特待生制度にて、武蔵野に入学して来た生徒だ。 ちなみに、龍二も空手の特待生らしい。 マサは・・・ ムエタイか・・・?
正木が言った。
「 涼子センパイ。 自分は結構、我慢強くなった方ですよ? 」
そう言いながら、正木は、男の襟元を締め上げている。 軽~く、わき腹をヒザで小突きながら・・・
男が言った。
「 涼子・・・? てめえが、あの芹沢 涼子か・・・! 鬼龍会 風紀局長の・・・! 」
芹沢は、少し笑いながら答えた。
「 あたしの顔を知らないなんて、ドコの馬の骨よ、あんた。 そんなんで、ウチに潜入して、ナニを調べようとしてたの? 」
書き物をしていた朝倉が、シャープペンシルのノック部を唇に当てながら言った。
「 素直に所属校を言えば、帰してあげるわ・・・ どう? 」
男は、見下した返事をした。
「 三下の女なんぞに、答えるつもりは無いね 」
途端に、正木のボディーブローが、男の腹に炸裂する。
「 誰に向かって、口聞いてると思ってんだよッ! テメエーッ! 」
どうやらこの男は、この会議が何の会議なのか、朝倉が鬼龍会のどんな地位にいるのか、全く分かっていないらしい。 週番の委員会 会議、とでも思っていたのだろうか? 可哀想に・・・ 知らぬが仏、だ。